突然発生して困らないために!不動産相続に関するお役立ち情報をくわしく紹介
不動産相続が発生したときに、まず直面するのが戸籍類の収集です。最近では住民票や印鑑証明書・現在戸籍などはマイナンバーカードを利用することで、コンビニなどで取得することが可能になりました。しかしそれ以外に不動産相続において必要になる原戸籍や除籍などは、依然として本籍地をおいていたことのある市区町村に個別に請求してそろえていくことになるのが現実です。生前に本籍地を転々と変えているような方では、戸籍類収拾は錯綜を極めます。
不動産相続の可能性のある相続人の範囲
不動産もほかの相続財産と同様の扱いとなります。亡くなった人が遺言を残していれば遺言書の内容が優先され、遺言によって財産を受け取る人(受遺者)が不動産相続の可能性を持ちます。 受遺者には民法で定められた法定相続人以外の人を指定することができますが、遺留分を侵害しないように注意が必要です。遺留分とは一定の法的な相続権のある人について、民法により保障された相続分です。 遺言がない場合、あるいは遺言書に指定のない財産がある場合には、民法に従って不動産相続をします。法的な相続権のある人とは故人の配偶者と、故人と血のつながりのある人(血族)です。血族については相続の順番や、受け取れる遺産の割合(相続分)に一定のルールがあります。 具体的には、次のような順位と割合で不動産相続をします。配偶者は、常に個人の財産の2分の1を受け取ります。第一順位の直系卑属となる子や、子が亡くなっている場合の孫などは、個人の財産の2分の1を均等に分けます。
不動産相続の手続きは期限があるので注意
不動産相続においては手続きには期限が存在し、その点に留意することが重要です。相続が発生した場合、遺産分割協議や相続放棄の手続きを含む不動産の相続手続きは所定の期間内に進める必要があります。それを守らないと、手続きが円滑に進行せず、法的なトラブルの原因となる可能性があります。 また、相続税の申告と納税も同様に期限が設けられています。相続税の申告は相続が発生してから10か月以内となっており、この期間内に必要な手続きを完了させることが求められます。相続税は相続人が相続財産に対して課税されるものであり、守らないと罰則が与えられる可能性があります。 これらに関する注意が急務となる理由は法的な手続きが複雑であり、手続きには一定の時間がかかるためです。不動産の評価や相続税の計算、遺産分割協議などには時間がかかることがあり、機会を逃すとスムーズな手続きが難しくなります。 したがって、相続が発生したら早めに専門家の助言を仰ぎ、必要な手続きを迅速かつ正確に進めることが重要です。順守することで法的トラブルを回避し、円滑な相続手続きを行うことができます。不動産相続や相続税に関する知識を事前に得ておくことで、スムーズな手続きが可能となり、家族や相続人間でのトラブルも未然に防げるでしょう。
不動産相続で争いが起きないようにする準備
不動産相続での争いごとを望んでいる親御さんはいないでしょう。自分の子供に少しでも残してあげたいという親心がある一方で、相続で子供たちがおかしくなってしまうのではないか、と心配している人もいると思います。特に不動産相続の場合には、一筆づつ分けるのも難しい場合があります。すると争いごとが勃発して相続が「争続」になるとはよく言われます。 そうならないためには、早いうちからの準備が必要になるのです。一番良いのは口約束はしないことです。口約束の場合には、言った言わないのもめごとになるのはほぼ間違いないからです。ですから、遺言を託すのであれば「自筆証書」や「公正証書」で遺しておくのが賢明な判断であるといえます。特に公正証書のほうが良いでしょう。これに記しておけば、いざという時にもめごとを大きくするのを防ぐ効果があります。公正証書や自筆証書を作成したのであれば、銀行の貸金庫や専門家に依頼して預けて、なくさないようにしましょう。
不動産相続を辞退する方法とそのデメリット
不動産相続を辞退する方法には、財産放棄と相続放棄の2種類があります。財産放棄なら相続したいものは受け取り、相続したくないものは受け取らない選択ができます。遺産分割協議の際に、ほかの相続人に対して意思表示すれば成立し、遺産分割協議書に記載されます。不動産だけを辞退したい場合には適切ですが、法的な放棄ではないため債務をなくすことはできません。借金などの負の財産があった場合、債権者への支払い義務は残ったままです。 相続放棄は始めから相続人とならなかったとみなされ、不動産相続だけでなく、すべての財産の相続権がなくなります。従って、負の財産も受け継ぎません。誰か1人に相続させることで、相続財産の分散を防ぎます。相続人になったことを知ったときから3か月以内に、家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。 相続放棄のデメリットは、プラスの遺産とマイナスの遺産を比べてプラスの遺産が多い場合でも、一切の相続財産を受け取れなくなることです。原則として、一度放棄すると撤回はできません。
不動産相続の登記は法律で義務化された
以前は不動産を相続した際には登記をする必要が無かったことから、固定資産税を逃れたり放置した建物が老朽化してゴミ屋敷となったり倒壊する恐れがあるなどの問題がありました。
それらを解決するために法改正が行われ、不動産相続が発覚してから一定期間以内に登記をすることが義務付けられました。
しかも、法改正後だけではなく、改正前に不動産相続をした場合も対象となっているところがポイントです。
もしも違反すれば罰金刑が課せられるという厳しいもので、手続きを怠ればその後の人生に大きな影響を与えることがあります。
今後は固定資産税を逃れるために手続きをしないというのは通用しなくなることから、支払い能力が無ければ売却をして現金化したり、相続放棄も選択肢に入ることが考えられます。
一方、これらの施策により放置されていた不動産が利活用されるようになり、自治体は税収を得ることができ、その物件を手に入れた者は住宅や商店などに利用するなど活性化が期待されています。
不動産相続を個人が行うのは難しい理由
不動産相続を個人で行うメリットは、士業の人たちに依頼をしなくてよいために、余計な費用が掛からないということです。
費用を掛けたくないのであれば、故人で出来なくもありません。
ところが年老いた人が相続を一人でこなすのは、大変な作業になります。
不動産相続に関しては取り寄せなければならない書類が山ほどあります。
不動産相続は一人でできるものですが、時間と労力がかかるために、一人で行う人はあまりいないのが現状です。
いくらお金がかかったとしても、司法書士に任せた方が安心に安全にできますので、依頼したほうが手間が省けます。
相続登記は義務化されることが決まっていますが、何でも自分で行うのは大変です。
自分で行うメリットは知識が増えるということでしょう。
不動産相続を個人で行うのが難しい理由は、登録漏れが生じる可能性も否定できませんし、必要な謄本がそろわないこともあります。
だからこそ司法書士等の専門家に任せたほうが良いのです。
不動産相続にかかる税金の計算方法
不動産相続は、他の相続財産の中でも資産価値が高いので相続税や譲渡所得税などの納税額が高くなるイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。
不動産相続するときには、相続税の計算方法や土地の相続税評価額の計算方法などを把握しておくと安心に繋がります。
なお、土地や不動産を相続したときにかかる税金はタイミングにより異なります。
相続したときは相続税と登録免許税、所有しているときは毎年固定資産税と都市計画税、売却のときは譲渡所得税と住民税が課税されます。
土地・不動産の相続に関する計算式は、各相続人の暫定的な税額として課税遺産総額×法定相続分×税率-控除額で求めます。
この計算で得た金額に相続人の数をかけて総額を導き出します。
導き出した額にそれぞれの相続人が取得する遺産の課税価格÷課税遺産総額で求めます。
ちなみに、アパートや借家として貸している場合は土地の相続税評価額が減額されることがあるといいます。
また、特別控除などを利用することで税金を安くできるケースもあります。
不動産相続で必要となる費用の種類
不動産相続で必要となる費用は、相続登記にかかるものです。
大きく分けると次の4つになります。
登録免許税は不動産の名義変更をする際にかかる国の税金です。
税額は不動産の評価額に応じて決まりますが、一般的な登記よりも税率は低くなります。
不動産相続の登記には、登記事項証明書や戸籍謄本など数種類の書類が必要です。
手数料は書類によって異なり、300円から800円程度です。
また窓口や郵送、オンラインなど請求方法でも変化する場合があります。
郵送の場合は往復の送料もかかります。
遺産分割協議によって相続財産を分けるときには、遺産分割協議書の作成が必要です。
相続人が自分で作る場合には費用はほとんどかかりませんが、内容に不備があると無効になる可能性があります。
司法書士に依頼すると、5万円から10万円程度になります。
登記を依頼する場合の司法書士報酬は、不動産の評価額や登記の内容、相続人の数などによります。
相場は10万円から30万円程度です。
不動産相続後に使わない物件を売却する方法
不動産相続をしても、物件の使い道がない場合があります。
遠く離れた両親の家を引き継いでも、住居にすることはできませんし、賃貸するにしても管理が大変なので売却して現金化する方が効率的と言えます。
そのためには、名義を亡くなった人から相続人に変える必要があります。
被相続人名義のままでは売却手続きをすることはできませんので、登記申請をして不動産相続を登記に反映させます。
相続人がそれぞれ法定相続分に応じた持分を取得した場合は、共有物件として登記することになります。
相続人の内、誰か一人が引き継ぐ場合はその人が所有者になります。
共有物件になった場合は、共有者全員が売主になる必要があるので注意が必要です。
共有者全員の意思が統一されていないと、手続きをとることができません。
共有持分のみを対象にすることも法律上は可能ですが、事実上不可能と考えなければいけません。
不動産の一部のみを買取っても使い道が無いので買主が見つからないからです。
不動産相続を現金化してから分割する方法
身内が亡くなったらその人が遺言書を遺している場合には別としてそれがない場合には被相続人全員が集まって遺産分割協議を行うことになりますが、それによって相続財産をわけることになります。
ただ相続財産の殆どが不動産である場合には簡単に済む話ではないので困ってしまいますが、その場合には不動産相続を現金化してから分割する方法があります。
それを行う場合には相続人と被相続人全員の必要書類を集めた上で相続を原因とする所有権移転の登記を行う必要がありますが、この登記は相続開始日から3年以内に行わなければならないので注意が必要です。
そして相続登記が完了したら土地や建物を売却するために必要な会社を選定し、依頼する不動産会社が決まったら販売価格を決定し依頼者を探すことになります。
このように不動産相続を現金化した上で被相続人間で遺産をわける方法もあるので、遺産の中に不動産があり扱いに困っている場合にはこういった方法を参考にするのが良いです。
不動産相続で税金が払えない場合の対応
遺産を相続した場合、遺産の総額が相続税の非課税枠を超えると、相続税を支払う義務が生じます。
しかし相続財産が不動産のみの場合には、税金の支払いに支障が出る場合があります。
不動産相続で税金が払えないときの対処法の1つは、不動産の売却です。
相続税には支払期限があり、不動産はすぐに売れるとは限らないので、売却する場合はできるだけはやく行動を起こしましょう。
相続税額が10万円を超え、納期限までに金銭で納付することが困難な事由があることなどの要件をすべて満たしていれば、相続税の延納という制度が利用できます。
この場合は、最大で20年にわたって分割で支払うことが可能です。
物納に充てる財産が一定の順位や条件に適合しているなどの条件を満たせば、物納もできます。
不動産相続した財産を、そのまま納めます。
相続を放棄すれば相続税の支払い義務はなくなります。
延納の場合は延納税額に利子税がつくため、利子税よりも低い利率で金融機関の融資が受けられる場合は、金融機関から借りるという選択肢もあります。
不動産相続で揉めた場合の適切な相談先
不動産相続のトラブルには、相続人の間で不動産の分割や売却について合意できない場合や、利用価値が低いのに固定資産税や管理費がかかって誰も相続したがらない場合などがあります。
不動産の資産価値を算定する方法について意見が合わない場合や、生前贈与された不動産の評価額が上がったときなどにも争いになる可能性があります。
不動産相続のトラブルの相談先は、法律のプロである弁護士が適しています。
弁護士に相談すると、不動産の分割や遺留分侵害額請求などへの対応ができます。
不動産の現況確認や調査を行ったり、登記簿上での権利関係の確認や整理を行ったりすることができるので、不動産の価値の正確な把握が可能です。
ほかの相続人との交渉や、売買契約の交渉を任せれば、心理的な負担が軽減されます。
相続登記(名義変更)手続きの依頼もできます。
ただし弁護士には分野による得手不得手があるので、選ぶ際には不動産相続の実績や専門性があるかどうかを確認するとよいでしょう。
不動産相続で漏れがあった場合の対応
不動産相続の登記漏れを発見するきっかけとなるのが、不動産の売却です。
見つかった場合には、すでに行った登記の相続方法を確認しましょう。
法定相続なのか、遺産分割協議書なのか、遺言書での登記なのかにより方法が異なります。
ほかの不動産が法定相続登記されていれば、通常は同様に行います。
持ち分の割合が同じなら、売却した際の分配が円滑です。
該当する不動産が遺産分割協議書には書かれている場合は、前と同じ方法で行います。
その不動産を特定する記載がなくても、書かれていない遺産についての相続人が決められている場合などは、改めて遺産分割協議書を作成する必要はありません。
記載されていない場合は、遺産分割協議書を作り直す必要があります。
不動産相続が遺言書で行われた場合は、遺言書に該当する土地の記載があれば前の場合と同様に行います。
記載されていない遺産の相続人についての言及などがあれば、前のときと同様の登記が可能です。
記載がない場合には相続人全員で不動産の相続人を決め、法定相続または遺産分割によって申告します。
海外にいる場合の不動産相続の手続き
転勤や留学、移住などで海外に住んでいる人が不動産相続をする場合にも、日本に住んでいる人と同様の手続きが必要です。
遺言書があれば遺言に従い、なければ法定相続人の間で遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割協議は法定相続人全員での話し合いが要件となっていますが、集まることが難しければ電話やメールで話をまとめることも可能です。
遺産分割協議の内容が書かれた遺産分割協議書には、全員の署名と押印が必要です。
相続人が海外にいれば、郵送で順番に書類を回して行うケースが多いでしょう。
不動産相続の相続登記のために名義変更を行うには、印鑑証明と住民票を提出しなければなりません。
日本の住民登録を抹消している場合は、印鑑証明の代わりにサイン証明を、住民票の代わりに在留証明を提出します。
サイン証明は遺産分割協議書を現地の在外公館に持参して係官の前でサインすることで、在外公館の発行する証明書が綴じ込まれます。
在留証明も、申請すれば現地の在外公館で発行されます。
日本の相続税が発生するので申告が必要です。